海外就職のための就労ビザ、取得条件

基本的には労働ビザ・就労ビザは、海外就職の内定先企業が取得してくれるので、応募者に関してはさほど気にする必要はありません。

ですが、労働ビザ・就労ビザの取得条件は、その国の日本人求人の応募条件と密接に関わっているため、その国の海外就職難易度とニアリーイコールだったりするので理解しておいて損はないでしょう。

※あくまでも一般的な取得条件で、該当企業の政府とのコネクション等によっても左右されますので、詳細は海外就職エージェントに相談してみましょう。

東南アジア

シンガポール共和国の就労ビザ

日本人が取得可能なビザは以下のタイプがあります。

就労ビザ名称 取得条件
Employment Pass
  • 管理職・専門職として就労する
  • 固定月給3300S$(約25万円)以上
  • シンガポール政府が認定した大学の卒業資格、または専門技術資格
S Pass
  • 固定月給2200S$(約17万円)以上
  • 専門学校・短期大学、またはそれと同等以上の学歴

年々、条件が厳しくなっているのがシンガポールの就労ビザの特徴です。

特に、EPパスは高い給料オファーでないと申請が通らないこともあり、新卒ではなかなかハードルが高い状況です。

Sパスは、EPに比べて条件が緩いですが、申請する企業のローカル社員数の20%(サービス業は15%)までの人数にしか発行できないため、ポストが空いた時にしか求人が出てこない傾向があります。

※2015年までEPは固定月給金額によってP1~P3があったが廃止された。

マレーシアの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
Employment Pass
カテゴリーⅠ
  • 大卒・短大卒の27歳以上(IT系は23歳以上も)
  • 固定月給5000リンギット(約15万円)以上
  • 雇用期間2年以上
Employment Pass
カテゴリーⅡ
  • 大卒・短大卒の27歳以上(IT系は23歳以上も)
  • 固定月給5000リンギット(約15万円)以上
  • 雇用期間2年未満
Employment Pass
カテゴリーⅢ
  • 大卒・短大卒の27歳以上(IT系は23歳以上も)
  • 固定月給2500リンギット(約6万円)以上
  • 雇用期間1年未満

月給15万円以下で雇用期間2年未満の日本人求人自体があまりないことを考えても、多くの場合はカテゴリーⅠの就労ビザを取得することになり取得ハードルも低い。

タイの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
Non-Immigrant VISA
  • 管理職・専門職として就労する(職歴無しでも可)
  • 固定月給50,000バーツ(約17万円)以上
  • タイ政府指定の39職種以外

タイでは就労ビザだけでなく労働許可証(ワークパーミット)の申請も必要となります。労働許可証の取得ハードルは低いですが、下記の39職種は外国人就労禁止のため取得出来ません。(ほとんどの場合、日本人求人が出ていないので気にする必要ありません)

肉体労働・農業・畜産業・林業・漁業レンガ職人・大工・ 木彫品製造・競売業・会計業・監査役務・貴石類の切削や研磨理容師・美容師・織物製造・アシ藤、麻、竹を原料とするマットの製造・手すき紙製造・漆器製造・タイ特産楽器製造・黒象眼細工・貴金属製品の製造・石工タイ特産玩具の製造・マットレス、上掛け毛布類の製造・托鉢用鉢の製造・絹手工芸品の製造・仏像製ナイフ製造・紙製・布製の傘製造・靴製造・帽子製造・建設、木工に関し、企画、計算、組織、分析、計画、検査、監督助言・建設業における設計、図面引き、コスト計算、助言をする業務・服仕立業・陶磁器類の製造・手巻きタバコ・行商・露店業・タイ字のタイプ・絹を手で紡ぐ業務・事務員、秘書法律・訴訟に関する業務など

インドネシアの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
IMTA
(外国人労働許可証)
  • 大卒・短大卒・専門卒
  • 固定月給、指定無し

2013年の法改正から、年々取得のハードルが厳しくなってきていると言われています。「就任予定の職務・役職に見合った学歴を有すること」という学歴の条件が設けられましたが、まだまだ「原則では」という感じで場合によっては高卒でも就労可能な場合もあるようです。

固定月給も指定金額が無く、第二新卒以上であればほぼ問題なくビザ取得が可能、新卒でも比較的容易に取得が出来る状況です。

ベトナムの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
NN1,NN2,NN3,LD,DN
(外国人労働許可証)
  • 大卒・短大卒
  • 固定月給、指定無し
  • 3~5年以上の職歴

ベトナムのビザは20種類もあり、外国駐在員事務所の所長、事務所の代表者、就労するもの、またその期間などによって細かく分けられている。就労ビザに関しては、上記の5種類のどれかに属します。

またタイと同様に就労ビザ以外にワークパーミットの取得が必要となり、ベトナムでの職務が本人の専門分野を活かしたものであることを証明する必要がある。(卒業証明書や資格、職歴など)

職歴が3~5年以上とあるが、あくまでも原則で、小規模の日系ITベンチャーに新卒エンジニアが入社するケースも多くあります。

フィリピンの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
9g 雇用ビザ
Prearranged Employee Visa
  • 学歴、指定なし
  • 固定月給、指定無し
  • 職歴指定なし

フィリピンの雇用ビザは、「就労先企業での職務・役職に必要な能力を有するかどうか」ということを申請時に外国人労働局に伝える必要がありますが、何とでも言えてしまうのが実際のところです。

そういう意味で、学歴も特に条件指定が無いこともあって、東南アジアの中でも就労ビザが取得しやすいのがフィリピンです。マニラやセブで働く若い日本人が増えているのもそういう事情からですね。

ただし、フィリピン就労ビザの取得は時間がかかることが有名で半年くらいかかる場合もあり、その間は観光ビザを延長しながら働くこととなります。(就労ビザ申請中であれば違法ではない)

アジア

香港(中華人民共和国香港特別行政区)の就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
Employment Visa
  • 大卒以上
  • 固定月給20,000HKD(約25万円)以上
  • 5年以上の職歴(香港人では出来ない技能を有する)

日本人の香港での就労ビザ取得は、大卒以上の学歴と、一般的な香港人では出来ない技能を有する(職務経験・専門性・マネジメント経験)が条件となっており、新卒ではなかなか難しいです。

またグローバルキャリアでは専門性が重視されるため、例え営業職でマネジメント経験があっても、香港での就労が経理・事務では専門性が証明できずビザが取得できないことが多いです。そのため、未経験分野の求人への応募はかなりハードルが高いと考えておいたほうがいいです。

中国の就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
Z査証
  • 大卒以上(専門職では例外あり)
  • 固定月給、指定無し
  • 2年以上の職歴

香港と同様、中国人ではなく該当の日本人でなければそのポジションが務まらないと言える専門性・スキル・学歴が必要。

2010年頃には中国進出をする日系企業が非常に多く、就労ビザの取得も比較的容易だったが、最近は厳しくなってきているため職歴のない新卒はややハードルが高い。

中国語が出来ると比較的申請が通りやすい。

台湾の就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
外僑居留証
  • 学歴:指定無し
  • 固定月給、指定無し
  • 職歴:2年以上(高卒・専門卒の場合は5年以上)

学歴、給与額などに条件は無く比較的容易に就労ビザが取得出来るが、職歴は大卒で2年以上必要な場合が多いので新卒では難しい。

韓国の就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
D-7・E-2・E-5・E-7
  • 学歴:指定無し
  • 固定月給、指定無し
  • 職歴:2年以上(高卒・専門卒の場合は5年以上)

日本企業からの駐在員はD-7、 韓国での現地採用はE-2・E-5・E-7のいずれかになります。

E-2(会話指導ビザ)は、主に日本語教師として外国語専門学校や小・中・高等学校で働く人に発給されます。

E-5(専門職業)・E-7(特定活動)は、専門職として働く人に発給されます。

概して、韓国では韓国人ですら良い給料で仕事を探すのが難しい状況ですので、日本人に就労ビザが発給されるには、それ相応のスペシャリストとしてのスキルが求められ、かなりハードルが高いのが現状です。

北米

アメリカ合衆国

就労ビザ名称 取得条件
H-1B
特殊技能職
  • 職務が求める特定分野での学資あるいはそれ以上の資格を持つことが条件
  • 通常枠は年間65,000発給まで。特別枠は年間20,000発給まで
H-2A
季節農業労働者
  • 米国労働者がいないため、一時的に農作業に就く目的で渡米する人に発給されるビザで、それ相応の職歴・学歴を持っていることが条件
H-2B
熟練・非熟練労働者
  • 季節的かつ米国労働者が不足している職業に一時的に就く目的で渡米する人に発給されるビザで、この職種に適格な米国労働者がいないことを雇用側は証明する必要がある

アメリカの就労ビザは非常に数が多く複雑なため、一部のみの紹介とさせていただきました。

一般的な社会人の方であればH-1Bで就労するケースが多いですが、日本でも優秀で実績のあるエンジニアや専門分野でのスペシャリストと言えるキャリアや知識が必要です。

H1-Bビザの通常枠は年間65,000まで、アメリカ大学院を卒業した外国人に対しての特別枠は年間20,000までの発給数が決められており、競争率も非常に高いハードルの高い就労ビザとなります。

カナダ

就労ビザ名称 取得条件
Confirmation of Offer of Employment
  • 学歴:原則、大卒以上
  • 固定月給額:指定なし
  • 職歴:指定なし

カナダはオファーの月給額や職歴の条件が無いが、他の国同様「カナダ人では行うことの出来ない職務・役職であり、該当者がその専門性を有すること」を証明しなければいけない。

カナダは失業率もある程度高いため、国内雇用を守るためにも外国人への就労ビザ発給のハードルは高くなっている。

その他の海外地域

オーストラリアの就労ビザ

就労ビザ名称 取得条件
長期就労ビザ
(Subclass 457)
  • 学歴:原則、大卒以上
  • 固定月給額:4,492AUSドル(約43万円)
  • IELTS5.0以上の英語力
  • 職歴:指定なし

オーストラリアは非常に就労ビザを取得するハードルが高いです。

まず雇用側からのオファー金額条件が最低年間53,900AUS$からとなっています。月給にすると約4,492AUS$(43万円)と日本の平均給与額を大きく上回っています。

また英語力が求められ、IELTというテストで5.0以上のスコアをとらなければいけません。IELTS5.0はTOEICでいうと600点くらいとなります。
ただ、多くの求人では実際のところIELTS5.0程度では仕事が出来ないため採用されず6.0(TOEIC820点に相当)くらいのスコアが必要なようです。

また、就労ビザ申請条件には職歴に関してはありませんが、実際にはオファー職種や役職に応じたキャリア・スキルが求められることがほとんどです。